明治・大正の品が人気?今、日本の骨董市場で需要が高い「時代」と「作家」の傾向
「古いものなら何でも価値があるわけではない」と耳にすることがありますが、今の日本の骨董市場において、特に熱い視線が注がれているのが明治・大正時代の品々です。かつては江戸時代の品が至高とされていましたが、現代のライフスタイルや国際的な評価の変化により、この時代の美術品やアンティークが「お宝」として再注目されています。
「実家にある古い器や掛け軸が、実は世界的な名品だった」というケースも少なくありません。今回は、なぜ今明治・大正の品が人気なのか、そして具体的にどの作家やジャンルに高い価値がつくのか、その最新傾向を詳しく解説します。
明治・大正の骨董品が「高騰」している理由
この時代の品々が評価される最大の理由は、**「超絶技巧」と「和洋折衷の美」**にあります。
1. 職人技の頂点「明治工芸」
明治時代、政府は外貨獲得のために日本の美術工芸品を海外の万国博覧会へ積極的に出品しました。そこで発表された金工、七宝、漆器などは、現代の技術では再現不可能と言われるほどの緻密さを誇り、「超絶技巧」として世界中のコレクターから絶賛されました。国内の需要だけでなく、海外市場での評価が極めて高いため、高価買取に繋がりやすいのです。
2. 大正ロマンという独自のデザイン性
大正時代に入ると、西洋のアール・ヌーヴォーやアール・デコの影響を受けた「大正ロマン」と呼ばれるスタイルが確立されました。和の伝統に西洋のエッセンスが混ざり合った独特の華やかさは、現代のインテリアとも相性が良く、アンティーク家具やガラス製品を求める層が急増しています。
需要が高い注目の「ジャンル」と「有名作家」
骨董市場において、特に高い査定額が期待できる具体的な作家や品目をご紹介します。
【金工・七宝】明治の超絶技巧
明治期の工芸品は、作家名が判明しているだけで価値が跳ね上がります。
並河靖之(なみかわ やすゆき):日本を代表する七宝家。緻密な図柄と美しい色彩は世界的に評価されています。
海野勝珉(うんの しょうみん):帝室技芸員も務めた彫金の大家。精緻な金属工芸は非常に希少です。
正阿弥勝義(しょうあみ かつよし):リアルな造形と独創的なデザインで知られる金工家です。
【日本画・掛け軸】近代日本画の巨匠たち
明治から大正にかけて、日本の絵画は近代化を遂げました。この時期の巨匠たちの作品は「骨董市場の花形」です。
横山大観(よこやま たいかん):近代日本画の父。風景画などは今も絶大な人気があります。
竹内栖鳳(たけうち せいほう):動物画の神様と称され、繊細な筆致が特徴です。
上村松園(うえむら しょうえん):気品あふれる美人画で知られ、国内外に熱狂的なファンがいます。
【陶磁器・西洋アンティーク】
オールドノリタケ:明治・大正期に海外輸出向けに作られた日本製の洋食器。独特のデザインと豪華な金彩が人気です。
氷コップ・ウランガラス:大正から昭和初期にかけて作られた吹きガラス製品。和ガラス特有の温かみと希少性から、コレクターの間で高値で取引されます。
価値を見逃さないためのチェックポイント
もし、ご自宅に「明治・大正」と思われる品がある場合、以下の点を確認してみてください。
「帝室技芸員」の作品か
当時の皇室御用達の職人グループです。この肩書きを持つ作家の作品であれば、それは最高級の美術品と言えます。
海外向けのデザインか
華やかな金彩が施された「薩摩焼」や、西洋風の絵付けがされた陶器は、当時の輸出用として作られた上質なものである可能性が高いです。
大正時代の「アール・デコ」調か
直線的で幾何学的な模様が入ったガラス製品や家具は、大正ロマンの貴重なアンティークとして評価されます。
まとめ
明治・大正時代の骨董品は、単に「古い」だけでなく、当時の日本が世界に誇った高い技術と新しい美意識が詰まっています。この時代の品物は、実用的なアンティークとしても、投資的な美術品としても非常に強い需要があります。
「いつのものか分からないけれど、親世代から大切にされていた」という品物があれば、それはまさに今、市場で求められている「時代」の逸品かもしれません。
お手元の品物がどの時代のもので、どんな作家の手によるものか、一度プロの鑑定士に相談して、その歴史を紐解いてみてはいかがでしょうか。思いがけない「お宝」との出会いが待っているかもしれません。